ーータッタッ

「美緒、俺が結婚しようって言ったの、幼稚園の頃なんだけど、覚えてるわけ?」

「うえっ」

なにを言い出すのかと思ったら、それかい。

覚えてるよ。

「美緒お前、そーとー喜んで……ーー」

ーーグイッ

「おわっ!」

あたしは、晴斗のシャツを掴んだ。

「なにすんだよ!!」

「じゃあ晴斗、覚えてるわけ?あたしの夢」

「夢?」

〈「美緒ー、美緒の夢、なーに?」

「美緒の夢ー?美緒はねー、晴斗のお嫁さんになることだよー!」

「じゃあ俺は、美緒の夫になるー!美緒を絶対、お嫁さんにする!」

「「約束!!」」 〉

「……っ!」

この約束、幼稚園の頃に交わした。

晴斗も思い出したみたい。

「あたしの夢、叶えてよね……」

「叶えてちょうだい、ダーリン!」

「「……なっ!」」

後ろを見ると、胡桃ちゃんが。

「なーに朝からイチャついてんの!ただでさえ暑いのに、ますます暑いわ!」

「くっ、胡桃ちゃん!!」

「うっ……」

「……!晴斗?」

「えっ、なに?」

うめき声をあげたくせに、誤魔化して……