〈「美緒、晴斗くんと遊びに行こか!」

「うん!!」

「美緒ー、あれ乗ろー!」

「いーよー!!」

ーー タタタタタ〉

「ーー緒……美緒……美緒!」

「ん~ぅ……」

大好きな幼馴染の声で、夢から現実へーー

「起きろ美緒!遅刻するぞ!」

あたしの目に映ったのは、幼馴染の顔だ。

茶色がかった前髪を、斜めに分け、少し
長めの髪、右耳にはピアス。二重で優しい眼差しの、暗めの茶色の瞳に、スッと通った鼻筋に、薄めの唇。今日の服装は、真新しい制服だ。紺色のジャケットに黒色のズボン。
首元には、黒色と緑色のネクタイ。ワイシャツのボタンは、2個目ぐらいから外して、ネクタイは、緩く締めている。スッと細い晴斗だから、ますますカッコいい。

「はりゅと……」

あたしは、まだ呂律の回らぬ口で、大好き
な幼馴染の名前を呼んだ。

高木公平(タカギコウヘイ)さんは凄腕のお医者様。高木美智子(タカギミチコ)さんは専業主婦。この2人の子供が晴斗だ。

チラッと晴斗の顔を見ると、イケメンの顔が
真っ赤になって、鼻から口を、手で覆っていた。