しばらくして思い出したように、ユキちゃんが少し考え込む仕草で。

「あ、そうだ。ねぇチヨちゃん、この後って特に用事ないわよねぇ? 明日は休みでしょ?」

「? うんまあ・・・」

「今ね、相澤さんが出張中で織江ちゃんも寂しいと思うのよ。チヨちゃん、これから行って話相手になってあげてくれない?」

 ・・・・・・・・・はい?
 一瞬、言われた意味が分からずに思考回路がフリーズした。
 相澤さんて。・・・あの相澤さん? 三の組の?
 オリエさんて確か奥さんの名前だったよーな・・・・・・。

 ユキちゃんはスマホを手にすると、素早く操作して誰かに電話を掛けた。

「もしもし高雄ー? 悪いけど迎えに来てちょうだい。誰って、ウチのお嬢に決まってるでしょ、宜しくねぇ~」

 なんかものすごく楽しそうに。しかも相手の返事なんか聴いてないよねアレは。
 かなり一方的に通話を終わらせたユキちゃんは、あたしに向いて事も無げな様子。

「じゃあ弟が来るまで、なに飲む?、チヨちゃん」


 語尾にハートマークでも付いてそうな彼女に、あたしは呆気に取られて目を丸くするしかなかった。