「・・・それでチヨちゃんは、ジン君と結婚するの?」

 泣き腫らしたあたしの前にファジーネーブルを置いたユキちゃんが、さらりと核心をつく。

「・・・・・・・・・仁兄が嫌い・・・とかじゃないよ。大事なお兄ちゃんで・・・尊敬もしてる」
 
 あたしは言葉を選びながら。

「・・・でも仁兄は仁兄だから。遊佐の代わりなんて・・・誰もならない」
  


 ねぇ。仁兄。

 あたしが誰と結婚してもあたしの傍にいる、って。
 最期まで離れないって。

 あたしを守ることしか考えてない男を置き去りにして。どうして結婚できるって言うの?

 ココロが千切れそうなくらい愛してる男がいる女を。仁兄は愛せるの。


「誰も幸せになれっこないよ、そんな結婚・・・・・・」

 眸を歪めてあたしは弱弱しく嗤(わら)った。