おじいちゃんとおばあちゃんからは、付け下げの色留め袖を。お父さんからは、ちょっと良く分かんないけど、メープルリーフ金貨1オンスが三枚。確かに金て相場が上がってるらしいけどさ。売ったり買ったりしろってコト?
 哲っちゃんと瑤子ママからは今年も宿泊券。これだと行かないと勿体ないから、出かけたくなる。ママ達の愛情だ。また榊と三人で計画しなきゃ。

 あたしは笑顔で心からの感謝を伝えた。
 お母さんを亡くした分、いつもそれを上回る愛を惜しみなく注いでくれる家族。
 本当にあたしは幸せ者だ。
 

 夕方から離れのゲストハウスで、ささやかなパーティを開いてもらった。

「宮子、二十五回目の誕生日おめでと!」

 遊佐の音頭で、かなりの大きさの長方形の苺ケーキに立てられた、二十五本のろうそくを吹き消す。それから乾杯をして、身内だけの気兼ねない集まりは久しぶりだなって思った。

「瑤子さん、仁さんも来るのでしょう?」

 おばあちゃんの何気ない質問に、ドキッとしたのはきっとあたしだけ。

「少し遅れるとは聴いていますけれど」

 丁寧に受け答えするママ。・・・哲っちゃんは話したのかな。あの夜にあたしが言ったコト。

 仁兄が来る。
 緊張を感じてお腹の辺りがキュッとなる。あれから会ってもないし、どうしたって結婚なんて出来るワケないのに。
 もし。また何か言われたら今度こそはっきり断らないと。密かに決心を固めた。