その時はもう。ただただ、遊佐の否定的な言葉の数々に打ちのめされて。ご飯も喉を通らずに、部屋に篭もって泣きっぱなしだった。

 自分の何がどこで間違ってるのか、分かってるようで解ってなくて。
 遊佐に、あたしは必要ないって言われたとしか受け止められずに。どん底まで落ち込んで立ち直れなかった。

 大好きな哲っちゃんの声すら耳を傾けられない。三日経ち、半ば強制的におばあちゃんに部屋から連れ出された。
 
『しゃんとなさい。宮子がそんな事で真さんはどうしますか。・・・貴女が本気で真さんと連れ添いたいと思うなら、ここが正念場ですよ』

 お化粧しても幽霊みたいに生気もない顔をして、連れて来られたのはどこかの甘味処だった。
 気が付いたら目の前にお汁粉やら、ぜんざいやらクリームあんみつが、これでもかって並んでた。

『好きなのをお食べなさい。甘いものは元気が出ますからね』

 ほんのり笑んだおばあちゃん。
 濃いお抹茶の苦みと、甘すぎない甘味。

 ともすると涙が滲みそうになるのを堪えながら。
 厳しくも優しいおばあちゃんの心遣いがほろ苦く・・・染みた。