ママと二人でひたすら餃子を包む作業をこなしながら。
 あたしはふと頭の隅を掠めた思いを口にしてみた。

「ねぇママ。・・・仁兄は結婚しないのかな・・・?」

「仁? どうかしらねぇ? あの子ああ見えて不器用だし。案外、本気で好きな相手には何にも云えないタイプなのよ?」

 困ったようにママが笑う。

「もう少し素直にならないと駄目かしらね」

「・・・そうなんだぁ」

 あたしには、結婚しろってハッキリ言ってたけどね。内心で溜め息。
 立場がどうのなんて、もっともらしいコト言って。ウソならいくらでも吐けるってワケ?

「仁がどうかした?」

「ううん・・・ほら、こないだおじいちゃんの古希祝いの時、会ったから。もう30歳過ぎだし、どーなのかなって」

 適当に言い繕う。

 ママの様子だと仁兄があたしに近付いてるのを知らない。哲っちゃんも気付いてないなら、余計な心配させたくないし。 

「仁より真よねぇ」

 気遣うように溜め息雑じりの瑤子ママ。 

「あの子、変に考え過ぎるところがあるから、いっそのこと既成事実を作っちゃう方が早いって思うのよ」

 ・・・デキ婚をススメられました。


 それも手かぁ。
 真剣に企んでみてもいい?、遊佐。