「こうしてチヨちゃんとマコトちゃんとトシヤ君が、三人そろって来てくれるのがやっぱり一番うれしいのよ」

 ユキちゃんは終始ニコニコ顔で。
 式の日のあれやこれやを肴に、愉しく飲んでおしゃべりした。



「ねぇマコトちゃん。二度とチヨちゃんを泣かせちゃダメよ?」

 帰る間際。榊が車を取りに行ってる間にユキちゃんはやんわり、遊佐にそんな言葉をかけた。

「分かってる、ユキ姉」

 淡い笑みで返した遊佐。
 
「・・・仁もお前も、これからの一ツ橋を支えてく柱の一本だ。気を抜けば一瞬で潰される。死に物狂いで宮子お嬢を守れよ?」


 不意に男言葉で、射抜くような眼差しを向けたユキちゃんに、遊佐が目を見張った。
 一度あたしに視線を振り返り、目を合わせたあと。
 不敵そうに口角を上げて、キレイな顔に凄みを滲ませる。


「それがオレの極道ってヤツだろ。死んでも、貫くさ」






【完】