蓉子さんは私の指導係で、室長代理という秘書室ナンバーツーの人だ。 美人で性格も良く、仕事も出来る。 そして薬指にキラリと光る指輪が物語るように、1男1女を育てるママさんでもある。 「ゆずきちゃん、大丈夫?」 どうやら心配させてしまったらしい。 「申し訳ありません。少しぼーっとしてしまいました。大丈夫です」 私は今、うまく笑えているだろうか? 「そう。なんだか悲しい顔をしてたから」 一瞬ギクリとしてしまった。 過去の出来事が走馬灯のように蘇りそうになるのを必死で振り払う。