「ウチは外資だから、英語は必須だしね」

「そ、そうですね」


もう、なにがなにやら。

さっきまでの緊張感はどこへやら、脱力感でいっぱいになりつつ、上階の秘書室に到着した。


「みなさん、ちょっと注目してください。今日から秘書室に配属になった相原ゆずきさんです。慣れるまでは雑務をしてもらうから、いろいろ教えてあげて」

「相原ゆずきです。よろしくお願いいたします」

深々とお辞儀すると、拍手とともに「よろしくね~」と、あちこちから声をかけてもらった。

秘書室は怖いところなのかと想像していただけに、明るい雰囲気の先輩方を見て、ホッと胸を撫で下ろした。