それにしても、こういった所は前もって予約を入れておかないと入れないのではと疑問に思ってしまう。
オープンスペースならともかく、個室なのだから。
「契約したマンションには来週引っ越しで、それまではこのホテルに泊まってる。今日はここで専務と会食する予定だった」
「そう、ですか…」
もしかしたら、見合いした人とか、そういう人と食事する為だったんじゃないかと思っていたので、少しホッと胸を撫で下ろした。
彼の顔を見る勇気はなく、私は目の前に置かれたオレンジジュースをぼーっと眺めていた。
私はお酒が苦手で外食では大抵オレンジジュースを注文していた。
テーブルに着くなり、彼が注文してくれたオレンジジュースは、なんだかとても高級そうに見えた。