「それでは、解散ー」

自分の中で葛藤が行われているなか、オリエンテーションが始まった。

彼は意外にもグループの中でリーダー的存在になり、みんなの意見を平等に聞いていた。

途中には「写真とろーぜ」っと声をかけてきてグループの仲もとってもよくなった。

私もそんな彼を見て優しい人だなと見直した。

オリエンテーションも終わりがけになり、彼への見方も変わっていた。

さっそくできた友達たちと話をしていると、
「LINE交換しよ」と、後から声をかけられた。

「いいよ!」
と、振り返ると、そこには彼が。

「ケータイ貸して、」

「うん」

「ほい、ありがと!壱川」

「こちらこそ」

ケータイに「桜井 光稀」の文字。

「光稀..くん?」

「おう、よろしく」

ぼーっとケータイを眺める。

「へえ!可愛い名前だねえ」

私の友達が彼をからかう。

「うるせえ笑」

私がふとケータイから視線を外し顔を上げた。
その時
彼と目があい、彼がにこっと笑った。

その瞬間
その一瞬
1秒。
時が止まったみたいに全部が見えなくなって聞こえなくなった。

好き。



新しい年。

私は絶対に仲良くなりたくなかった彼に
一目惚れをしました。