「最近、柳くんによく話しかけられてるね。話すようになったきっかけあるの?」
お昼休みの時間、凛とお弁当を食べていると、凛からそう質問された。
私は、突然の柳くんについての話題になり、進めていた箸を止める。
「あぁ……うん。この間の日曜日にね、弟と新しくできたパンケーキ屋さんに行ったんだけど……その時に偶然会ってね。声かけられて、それから学校でもよく話しかけられるんだ」
「へぇ〜!それは偶然ですな!で?どうなのよん?いい感じなのん?」
「え、なにが?」
凛が、小声で私に聞いてきた。
……なんか、ニヤついている気がする。
「なーんかぁ、柳くん、唯に興味ありそうじゃん?」
「え、いや、それはないよ」
「なんで〜?だって、興味がなかったら話しかけないでしょ?少なくとも話しかけたくなかったら、わざわざ話しかけないよー!」
「いやでも、偶然パンケーキ屋さんで会ったからで、向こうにとってはただの暇つぶしに声かけてるんじゃない?」
「んもぉ〜夢がないなぁ!!もっと乙女チックに考えなよ〜!」
「お、乙女……チック……」
「柳くん、噂ではモテるみたいよぉ〜?イケメンで頭も良くて、女子たちには人気らしいんだから!」
「そ、そうなんだ……」
「だからぁ〜、そんな人気な柳くんが唯に毎日声をかけてくれてるのよ〜?ありがたき幸せじゃない!!」
「う、う〜ん……よくわかんない……」
なぜか凛はテンション上がってるみたいだ。
凛は、こういう恋とか愛とかいう話も好きだもんな。
でも、柳くんにとって私は、知り合いのうちの一人だと思うんだよね。
たしかに、柳くんはそこにいるだけでパッと目立つような存在感あるけど……。
凛みたいな乙女な想像は、私にはできないっす……。