そうだ、思い出した。

私はあの時、公園に屯していた不良っぽい集団に目を付けられたんだ。

にやついた顔で近づいてきて、煙草の煙をかけられて咽たのを覚えてる。


『あれあれぇ、この子、見たことあるんだけど』

『まじー? 知り合い?』

『うーん、どうだっけ』


あはははって笑い合う集団は、お酒の臭いもしてた。

蒸せるような暑さに汗を滲ませて、上半身裸の人もいたような気もする。

だけど、顔はモザイクが掛かったように覚えてない。

あの人たちの言ったことが本当なら、知り合いだった?

私の、知ってる人だった?



「うっ、きもちわるい……」


キッチンで飲んだ水を、そのまま吐き出してしまった。

胸と背中がヒクヒク痙攣している。


集団に囲まれたあとの私は、隙をついて逃げ出したけど、追いかけられて植え込みのところに隠れていたんだ。

だけど、結局は見つかって、それで――――。


「うぇぇ……」


次に気が付いた時には、病院だった。

そして、混乱しているところに、『事故にあった』と教えられ、当日の朝からの記憶がすっぽり抜けてしまった。

いや、違うな。

泣きじゃくるお母さんが心配で、自分の事どころじゃなくなってしまったんだ。