「え?」


と声を上げた瞬間、ふわりと浮き上がるあたしの体。


周囲からヤジの声が聞こえてきて、ようやくお姫様抱っこをされているのだと気が付いた。


「け、健!?」


慌てて下りようとするけれど、健はそのまま歩き出してしまった。


「血が出てるのに、歩かせるワケにはいかないだろ」


「で、でも……!」


顔が真っ赤になっているのがわかる。


こんなの恥ずかしすぎる!!


「教室までだから、少し我慢して」


健が真剣な眼差しでそう言って来たので、あたしは何も言い返す事ができなくなってしまったのだった。