健は時折思い出したようにあたしにキスをした。


ありがとう、好きだよと繰り返して言ってくれる。


痛み止めはすでに効果が切れているだろうけれど、痛みは不思議と感じなかった。


ただ、血が流れ出すたびに体温が低くなっていくのを感じる。


自分の体がどのくらい残っているのかもわからない。


あたしの体がなくなったら、もう終わり。


そう考えると、少しだけ涙が出た。


「ナツミ、今度は目玉を食べたい」


健が口元を真っ赤に染めてそう言った。