あたしが健のためにできることは、体を自由にさせてあげることだけ。


その事に、涙が出た。


「どうしたのナツミ? 悲しい?」


健が舌であたしの涙を舐め上げてそう聞いてくる。


「ううん。大丈夫」


せっかく健と2人きりなんだ。


悲しいワケがなかった。


「ねぇ、健。なくなったら終わりなんだから、ゆっくりね?」


右耳をあっという間に食べ終えてしまった健に、あたしはそう言った。