いつも昇降口で健に声をかけられて鞄を持ってもらうのが日課だったのに。


昨日あたしの肉を食べなかっただけで、随分と冷たいものだ。


だけど、考え方を変えてみると、そのくらい健はあたしの肉が好きなのだ。


「あたしの肉なしじゃダメなのかもね」


そう呟き、鼻歌を歌いながらトイレから出た。


その時、丁度杏が歩いてくるのが見えた。


「あ、ナツミおはよう」


いつもと同じようにそう言ってから、杏の表情が暗く変化した。


「おはよう杏。どうかしたの?」