ジンクス

あたしは健に声をかけるタイミングを失ってしまい、あとずさりをした。


このまま教室へ入っていけば、きっと気まずい思いをするだろう。


「ナツミ、どうしたの?」


そう声をかけられて振り向くと、杏と花梨が立っていた。


手にハンカチを持っているから、トイレから戻ったところなのかもしれない。


あたしは何も言わず、2人の腕を掴んで歩き出した。


「ちょっとナツミ?」


「2人とも、ちょっとここに入って」