☆☆☆

お弁当が多い分、今日の鞄はずっしりと重たい。


帰る頃にはこれが少しは軽くなっているのだと、自分に言い聞かせて歩いた。


「よぉ、ナツミ」


緊張しているあたしのことなんて梅雨知らず、健が後ろからそう声をかけて来た。


心の準備もないままに声をかけられたので、口をパクパクさせて返事が出てこない。


「なんだよ、腹話術か?」


健がそう言ってあたしの頭をポンッと叩き、先を歩き始めた。


あたしは慌ててその後を追いかけた。


2人で教室へ向かう時間がとても幸せだと感じられる。


こうして並んで歩いているのを、羨ましいと感じている女の子だって多いはずだ。