「もしかして、好きな人でもできた?」


お母さんの言葉にドキンッと心臓が高鳴った。


それはそのまま顔にも出ていたようで、お母さんは「やっぱりそうなのね」と、ほほ笑んだ。


「べ、別にそんなんじゃないし」


と、今更言ってみてももう遅い。


お母さんはニヤニヤした笑みを浮かべて、あたしのお弁当箱を覗き込んできた。


幸い、健の分はもう蓋を閉めてあるから大丈夫だ。