冬夜はあたしの髪を撫でるのが好きだった。


愛しそうに何度もなでてくれた。


「冬夜……」


ジワリと涙が浮かんできた。


演技じゃない涙なんて汚いだけだと知っているのに、止まらない。


冬夜が撫でてくれる髪の毛は、もうない。