散々写真を撮影した男はあたしに手鏡を突き付けて来た。


そこに写っていたのは、髪の毛をガタガタ切られて泣きはらした自分の姿だった。


「写真を消して! お願いだから!!」


あたしは可愛い。


あたしはお姫様だ。


こんな顔みんなに見られるわけにはいかない。


こんな姿、本当のあたしとは違う。


こんなの見られたら……あたしは終わってしまう。


「お願いです。なんでもします。だから写真を消してください!」


何度も何度もそう言い、泣きながら懇願した。


それでも男は小さく笑い声をあげて、部屋を出て行ってしまったのだった。