フった男の中にストーカー気質の男がいたとしても、誰だかわからないのだから。


こんな時に金魚のフンみたいなクラスメートたちがいてくれれば、簡単に解決できるのに。


「誰か迎えにきてくれないかなぁ」


あたいがいない事はもう冬夜が気が付ているはずだ。


それなら動いてくれている可能性は十分にあった。


後は待つだけならいいんだけれど。


そう思っていた時、テーブルの向こう側にあるドアが開いて覆面男が入って来た。


けれど、さっきとは別人のようで小柄な人だ。


「ねぇ! あたし決めたの! あなたと付き合ってあげる。ずっとここにいてあげてもいいよ? だからこの拘束だけ外してほしいの」


甘えた声でそう言った。


大抵の男がこの声と笑顔で言う事を聞いてくれる。