「お願い! トイレに連れて行って!」


あたしはすがる思いでそう言った。


男があたしを見てズボンのポケットから何かを取り出した。


一瞬何かの武器かと思い、身構える。


しかしそれはスマホだったのだ。


相手はスマホのカメラをこちらへ向けている。


何をするつもりなんだろうか。


背中に冷や汗が流れて行く。


暴行されてその様子を撮影されてしまうのかもしれない。


そう思い、あたしはお尻を引きずるようにして後ずさりをした。


男は何も言わずに近づいてくる。


「やめて……」


か細い声でそう言っても、男がやめてくれとは思えない。