でも、ここから立ち上がる事が難しい。


壁にしっかり背中を付けて両足を踏ん張って体を起こす。


しかし手足がしびれているため、簡単に立ち上がる事はできなかった。


血の流れは悪く、手足の末端は驚くほど冷たい。


そのせいで余計にトイレに行きたくなってきてしまう。


「もう……最低」


そう呟いた時だった。


テーブルの向こう側のドアが開いたのだ。


ハッとして顔を向ける。


そこ立っていたのは覆面の男だった。


けれどさっきの人とは違うようだ。


こっちの方が少し小柄に見えた。