どうせあたしのファンがやったことなんだろう。


学校内でも時々いる。


無理やりにでもあたしを手に入れたいっていう、野蛮な奴らが。


そんな奴らの餌食にならないよう、いつも数人で行動するようにしていた。


それが今日に限って1人で帰ってしまったのだ。


たまには冬夜のために料理をしてあげようと考えて、買い物に寄ったのがまずかったらしい。


けれど、こんな場所に監禁までされるとは思っていなかった。


相手は相当あたしに入れ込んでいるようだ。


と、その時だった。


テーブルの向こう側にあるドアが開いたかと思うと、覆面を被った男が姿を見せたのだ。


驚いて一瞬声がでなかった。


「あんた、あたしのファンなんでしょ?」


テーブルの上にパンと牛乳を置くその男へ向けて、なんとかそう声をかけた。


男はなにも言わない。