家賃4万円の狭いアパートがあたしと冬夜の愛の巣だった。


「朝は苦手だって冬夜もよく知ってるでしょ」


あたしはそう返事をしながら起き上がった。


まだ体は眠たがっていて、とても重たい。


けれど早く準備をしないとまた遅刻してしまう。


「知ってるけど、千恵美(チエミ)ならもっとちゃんと起きるぞ」


冬夜の言葉にあたしは顔をしかめた。


「なんで今千恵美の話しになるの」


素敵な朝なのに他のお何の名前なんて聞きたくない。


「お前と千恵美じゃ大違いってこと――」


「うるさい!」


冬夜が話すのを遮ってあたしはそう怒鳴った。