「そろそろ薬の効果が出て来たようですね」


覆面男の声がして、あたしはモニターを見た。


「言い忘れていましたが、昨日の敗者には特別な薬を投与させてもらいました」


「薬!?」


「そう……自我を失い。化け物になる薬です」


覆面の下の顔が奇妙に歪み、笑ったような気がした。


「ガアアアアアア!」


叫び声が聞こえて視線を戻すと牙をむき出しにした美世がこちらへ迫ってくるところだった。


「美世、やめて!」


咄嗟に部屋の隅へと逃げた。