美世は一瞬こちらを見たが、すぐに音へと視線を戻した。


死んでいる音は何も言わない。


嫌だとも、やめてとも、言わない。


「やめろよ!!」


あたしは怒鳴り声をあげて美世の体を突き飛ばした。


肩で呼吸をして美世を睨み付ける。


美世はぼんやりとした表情であたしを見つめた。


しかし、次の瞬間……カッと口を大きく開いたのだ。


口の中には長い牙が見える。


あたしはたじろき、後ずさりをした。