「あなたたちは生きた人間を拷問できるのに、死んだ人間を拷問できないんですか?」


その質問にはなにも言い返せなかった。


助けてほしいという悲鳴を、繰り返し無視してきた。


その悲鳴が面白い物だと思い、笑って来た。


あたしは奥歯を噛みしめて俯いていた。


相手の人権を無視したのはあたしだ。


相手の苦しみを笑ったのはあたしだ。


「助けてください……」


モニターへ向けて弱弱しくそう言った。


千恵美だって同じ言葉を言っていた。


こんなに小さな声じゃなく、もっと大きな声で言っていた。


それでも、あたしたちはそれに耳を貸す事はなかったんだ。