そこまで千恵美のことが嫌いだったなんて思ってもいなかった。


教室内にはあたしたち3人しかおらず、音と美世の悪口はエスカレートしていく。


あたしはおどおどと相槌を打っていただけだった。


「ああいう時は即答しなきゃダメだよ」


音にそう言われたのは数日後のことだった。


「え?」


「美世のこと。あの子を敵に回したらあたしたちまで悪者にされるんだから」


誰もいないトイレの中、音がそう言った。


「そうなんだ……」


「そうだよ。美世は女王様なんだから、女王様の機嫌を損ねちゃダメ」


それから、あたしたちは美世にべったりとくっつくようになってしまった。