それからあたしとスミレは元の部屋に戻ってきていた。


あんな悲惨な動画を見せられた後なのに、覆面男はいつも通りパンと牛乳を置いて行った。


美世はもう解放されたのか、左側の部屋はドアが開きっぱなしになっていた。


グッタリと座り込んでいると、隣からドンッと物音が聞こえて来た。


スミレだ。


あたしは返事を返そうとしたが、その気力も残されていなかった。


美世は生きているかもしれない。


だけど自慢の顔はもう消えてしまった。