覆面男がエンジンをかけている。


美世は目を見開き、必死に逃げようとのたうち回っている。


「冗談でしょ? 冗談だよね!?」


後ろにいる覆面男にそう聞いても、やっぱり返事はなかった。


「安心してくださいね。命に別状はないよう、ちゃんとすぐに手当てをします」


画面上の男がそう言い医療道具を撮影した。


傍には白衣を着た男の姿もある。


本物の医者だろうか?


「でも気を付けてくださいね。本人がむやみやたらに動くと、その首を掻っ切ってしまうかもしれない」


男がそう言うと、美世が動きを止めた。