美世は起き上がる気力もないのか、切られた頬を押さえてうずくまっている。


モニターが光り、画面上に覆面男が現れた。


「どうして殺さなかった?」


それはあたしへ向けた言葉だった。


「どうしてって……」


あたしはうずくまったままの美世を見おろした。


まだ顔色は悪いままだ。


「そこまでする必要がなかったから」


「まぁいい。今回は最初のゲームだからな」


覆面男はそう言い、モニターは途切れてしまった。


「なんなの?」


音がモニターを見つめてそう呟いたのだった。