「お待たせ!」


その声が聞こえてきて公園の入り口へ視線を向けると、息を切らしながら遼太郎が走って来た。


よほど急いできたのか、髪の毛が随分と乱れている。


「そんなに急いで来なくてもいいのに」


呆れてそう言うと遼太郎は「待たせるわけにはいかないから」と、早口で言った。


そこまで忠実になるとは思っていなくて、あたしは笑ってしまった。


「で、約束のものは?」


そう聞くと、満面の笑顔を浮かべて鞄の中から封筒を取り出した。


「貰ってきたよ」


そう言ってあたしに手渡して来た。


10万円よりも分厚いことは触れただけでもわかった。


けれど開けて見ないとわからない。


まさか千円札ばかりということはないだろうけれど……。