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惚れ薬を飲んだ人間は、とても忠実になる。


でもそれってどこまでだろう?


そう思いながらあたしは遼太郎を観察していた。


遼太郎はさっきからスキップでもしそうな勢いで楽しそうだ。


「ごめん、あたしこれからデートになった」


カフェへ向かう途中、初美がスマホを取り出してそう言って来た。


「断ったら?」


真弥がそう言うと、初美は困ったように眉を寄せた。


田中君は初美に忠実だから、1度デートを断ったくらいじゃ怒らないはずだ。


それでも躊躇するということは、初美が田中君に会いたいんだろう。


「行ってらっしゃい」


あたしは笑顔でそう言った。