「ねぇ、これ見て」


初美がそう言って来たのであたしは顔を上げた。


あたしの机にスマホを置き、田中君とのメッセージを表示させた。


そこには田中君のやさしさと、初美への愛で溢れていた。


読んでいるうちに胸やけがしてくるほどだ。


あたしは顔をしかめてスマホを初美へ突き返した。


「今ノロケを聞いてる暇はないの」


「そうじゃないよ。面識のなかったケンジでさえ、あの薬を使えばここまで変化するってこと」


初美は笑顔を浮かべてそう言った。


「だって惚れ薬だもん。そんなの当たり前じゃん」


あたしは初美へ向けてそう言った。