惚れ薬

「あれ? なんか動揺してる? さっきまでの勢いはどこに行った?」


遼太郎は更に笑顔を歪めてそう聞いて来た。


あたしは下唇を噛みしめた。


ダメだ、誤魔化しきれない。


「この小瓶のこと、知ってるんだよね?」


遼太郎があたしの顔を覗き込んでそう聞いて来た。


息が顔にかかり、吐き気が込み上げて来る。


「知らない」


そう言って顔を背けた。


心臓はバカみたいに早くなっている。


「あれぇ? 本当かなぁ?」


遼太郎は甘ったるい声色でそう言い、あたしの手に触れて来た。


「触らないでよ!」