惚れ薬

「俺にそんな口の利き方していいと思ってる?」


余裕そうな表情を浮かべてそう言ってくる遼太郎に、あたしは眉間にシワを寄せた。


一体なんだって言うんだろう。


この大事なタイミングで話しかけてくるなんて、本当に最低だ。


「わかった。話はしてあげるけど、後にして」


そう言って遼太郎の横を通り過ぎようとしたのに、遼太郎に手首を掴まれてしまった。


触れられるだけで全身に鳥肌が立つ。


「今じゃないと、意味がない」


その言葉の意味を理解しかねて遼太郎を睨み付けた。


「それなら早くして。あたしやる事が合って忙しいんだから」


あたしはそう言って遼太郎の手を振りほどいた。


「忙しい? なにかするの?」


「遼太郎には関係ない」


「へぇ? これでも?」


遼太郎はそう言い、スマホの画面をあたしの目の前へと掲げて見せた。