「……もしかして彼氏?」


そう聞くと、初美は頬を赤らめて頷いた。


「効果は続いてるんだね」


「うん。薬の効果がどれくらい持続するのか、そういうのもわからないんだよね」


そう言う初美は少し寂しそうに見えた。


初美にとっては初めての彼氏だから、できれば長く付き合っていたいのかもしれない。


「初美ならきっと大丈夫だよ。効果が切れたとしても、田中君は初美のことが好きになると思う」


「あはは、ありがとう」


そうこうしている間に、航が教室に入って来た。


その姿にあたしの心臓が大きく跳ねる。


しかし航はあたしと視線がぶつかっても無視して自分の席へと向かって行ってしまった。


その態度に胸がチクリと痛む。