惚れ薬

「そう思う? じゃあ、命令してみようかな」


初美が意味ありげな表情でそう言った。


嫌な予感が胸をよぎる。


例えば、薬を飲ませた遼太郎に『青花の事を好きになれ』と、命令していたとしたら、どうなるだろう?


そう考えるとサッと血の気が引いて行った。


「遼太郎――」


「待って!」


初美の言葉をあたしは遮っていた。


「やめて。変な事言わないで」


早口にそう言うと、初美がおかしそうに笑い声を上げた。


「そっか。じゃあ辞めておいてあげるよ。その代わり、放課後駅まで行っておっさんにパンツ売ってこいよ」