「薬の半分はね、遼太郎に飲ませたんだよ」


ニコニコとほほ笑んでそう言う初美に、あたしは目を見開いた。


「なんで遼太郎なんかに!?」


「あ、そんな言い方は良くないよ? 遼太郎だってすっごく役立つんだから」


初美はそう言い、遼太郎へ同意を求めている。


遼太郎は頬を赤らめて頷いた。


「例えばさ……遼太郎の好きな子を、遼太郎の好きにしていいよって言ったら、どうなると思う?」


初美の言葉にあたしは遼太郎を見た。


「薬を使ってるから、そんなことをしても遼太郎はあたしを傷つけたりなんかしないでしょ」


遼太郎が今好きなのは、初美なんだから。