惚れ薬

そう聞いたのは真弥だった。


最初真弥の言っていることの意味がわからなかったけれど、よく考えたら航の飲み物に薬を混入させるとき、初美にも手伝ってもらった。


「もちろん。事前に航の買った飲み物と同じ物を用意して、何も入ってない飲み物とすり替えてたよ」


初美はそう言い、声を上げて笑った。


「告白が上手く行くと思い込んでたあんた、おかしくて仕方なかった!」


初美の笑い声に胸の奥から怒りが込み上げて来る。


こいつさえいなければ、今頃あたしは航と付き合えていたのに!


怒りに任せて初美の胸倉をつかんでいた。


「なにすんだよ!」


初美が怒鳴り、クラスメートたちからの視線を浴びる。