惚れ薬

「今何時だと思ってる?」


父親の低い声が聞こえてきて、あたしは「え?」と首を傾げた。


「門限をとっくに過ぎてるじゃないか!」


門限……?


「え……なに言ってんの? 門限なんて関係ないじゃん」


「なんてことを言うんだお前は。しばらくそこで頭を冷やしなさい」


そう言い、足音が遠ざかっていく。


ちょっと待って、嘘でしょ!?


「鍵を開けてよ! ねぇお父さん!」


慌ててそう声をかけるけれど、返事はなかったのだった……。