「そんなことより、ほら」


真弥がそう言い、あたしの肩をつついて来た。


真弥が指さす方向を確認してみると、航がお茶を飲んでいるのが見えた。


昨日より多めに入れた惚れ薬。


あたしはゴクリと唾を飲みこんだ。


今回はちゃんと効果が出るはずだ。


今日も昨日と同じように放課後まで待っていようと思ったけれど、気持ちが先走ってしまい、落ち着かなくなる。


「次の休憩時間に声をかけてみたら?」


真弥にそう言われて、あたしは頷いた。


普通に声をかけるくらいならいいだろう。


「早く両想いになれたらいいね」


初美の楽し気な声を、あたしは無視したのだった。