「あ、あのさ」


俯き、モジモジと指先を弄びながら遼太郎は言う。


なんだか嫌な予感がする。


思わずその場を逃げ出してしまいそうになった時、遼太郎が顔を上げた。


「俺と付き合ってください!」


真っ赤に染まった顔で、遼太郎はそう言って来たのだ。


嫌な予感的中。


しかめっ面をしてしまいそうになるのをなんとか押し込めて、あたしは「ごめん、好きな人がいるから」と、早口に返事をした。


航と遼太郎ははっきり言って正反対だった。


色白でポッチャリしている遼太郎は、あたしの好みから随分と外れている。


「じゃあね」


まだなにか言いたそうにしている遼太郎をその場に残し、あたしは逃げるようしてグラウンドへ出たのだった。