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2人が移動してきたのは校舎裏だった。


告白などの場所としてよく利用される、ひと気のない場所。


あたしたち3人は校舎の影から2人の様子を伺った。


初美が面白がって動画を撮影し始めている。


航がサキを前にして緊張しているのが、こちらにまで伝わって来た。


「あのさサキ……」


「なに? あたしこれからバイトなんだけど」


サキはスマホで時間を気にしながらそう言った。


「俺、サキのことが好きなんだ!」


思い切った航の告白に、胸がズキンッと痛んだ。


言葉が刃となって突き刺さる事って、本当にあるんだ。


涙が滲んでしまいそうになるのを、グッと押し込めた。