惚れ薬

☆☆☆

翌日、とてもいい天気だった。


まるであたしの心のように晴れ渡っている。


母親に学校まで送ってもらったあたしは、早足に教室へと向かった。


教室へ入ると、すでにサキは来ていてクラスメートになにか話をしている。


あたしは自分の席に鞄をかけて、サキに近づいた。


「おはよう、なんの話してるの?」


「おはよう青花。昨日買った財布の話だよ」


そう言う先の手の中には2つ折り財布が握られている。


学生向けの安いブランドの財布だ。


その財布に興味なんてなかったけれど、あたしは「すごい、可愛いね!」と、声を上げて見せた。