晩ご飯の時間帯、あたしは自分の部屋からようやく出てきてキッチンへと向かった。


今日はから揚げみたいで、揚げ物のいい香りがしてきている。


「青花、ちょっとは手伝って」


ドアを開けるとご飯をお茶碗へよそっていた母親が、そう声をかけて来た。


「うん」


あたしは頷き、3人分の箸を用意した。


部屋着のスボンのポケットにはあの小瓶が入っている。


あたしは2人に背を向けて冷蔵庫から麦茶を取り出した。


ガラスコップを三つ並べて置き、そのうちの2つに惚れ薬を混入させた。


バレないよう、手早く麦茶を注ぐ。


「はい、お茶」


そう言って両親が座る場所にお茶を置いた。


「あぁ」


新聞から目を離して父親が頷く。